認知症はどんな病気なの?
認知症とは、簡潔に説明すると、正常に機能していた脳が何らかの理由で障害を受け、記憶や判断力が損なわれ、日々の生活に支障をきたす病的な状態を指します。
主な原因としてはアルツハイマー病や脳血管障害が挙げられ、特に高齢者に発症するケースが多いです。
しかし、一般的な忘れ物とは異なり、認知症は脳の医学的な疾患であるという点が重要となります。
認知症を予防するにはどうすれば良いの?
現時点では、認知症を確実に予防する方法はありません。
しかし、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病と、認知症との関連性を示す研究は多くあります。
適度な運動を生活の中に取り入れることや、バランスの取れた食生活を心がけて生活習慣病を予防することが、認知症の予防にもつながると考えられます。
もし、定年退職後にやることがないといって、家の中で退屈な日々を過ごしていると、家族以外の人とコミュニケーションを取る機会が減り、脳への刺激も少なくなってしまうでしょう。
2011年にアメリカのタイム誌で報告された研究によれば、友人が多いなど社会的なつながりのある人は、認知症の発症リスクが70%も減少する事が報告されています。
そのため、地域交流やボランティア活動などの社会活動に積極的に参加し、社会の中で役割や生きがいを持つと、心と脳が活性化することになり、認知症予防にもつながります。
シニア世代はすぐに認知症を予防するべき!
アメリカの研究では脳の劣化は40代後半から始まるとされています。
実際、もの忘れを自覚する人も40代後半が多く見られます。
また、認知症で最も多いアルツハイマー型認知症の原因物質は発症する20年ほど前から溜まるともいわれています。
つまり、シニア世代は直ぐに認知症の予防を心がける方が良いという事になります。
できるだけ早くから生活習慣を見直して、ストレスを溜めないように脳を刺激させるなど、早いうちから対策を取り認知症を防ぎます。
認知症を予防するにはどうすればいいの?
認知症を確実に予防する事は出来ませんが、専門医が推奨している予防策は次の10の方法です。
・脳血管を大切にする
・食生活を整える
・運動を心がける
・飲酒・喫煙が過度にならないようにする
・活動・思考を端緒にしないように努める
・充実した人生を送るように心がける
・家族・隣人・社会との人間関係を普段から円滑にしておく
・自らの健康管理に心がける
・病気や障がいの予防や治療に努める
・寝たきりにならないように心がける
10の方法に関して、重要な事は健康的な体を保つという事です。
では、日常生活で出来る認知症予防のトレーニングとは一体どのようなものでしょうか?
認知症にならないためにお家で簡単にできるトレーニングを紹介していきます。
ながら運動「デュアルタスク」
デュアルタスクとは、同時に2つのことをするトレーニング方法で、電話をしながらメモを取るといった動作がその一例です。
認知症を予防する効果が高いと言われるデュアルタスクですが、まず動作すること自体が、体を動かす脳機能を活性化させます。
それに加えて課題を達成させるための機能も使うので、思考を司る前頭葉の部分も刺激されます。
洗濯物を畳みながら歌をうたったり、テレビを見ながら料理を作ったりなど、日々の生活のなかで簡単にできるので、意識的に取り組みましょう。
テレビゲーム
テレビゲームは指を動かしながら考えたり、目で物の動きを追いながら考えるため、脳を刺激するとして、認知症の予防に有効といわれています。
また、認知機能の維持に大切な前頭前野の機能を保ちます。
特にアクションゲームは反射的な対応力が求められるので、より認知症の予防効果があるといわれています。
アメリカの研究でもアクションゲームを含む処理速度を鍛えるゲームは、認知症予防に効果的だと実証しています。
囲碁や将棋
囲碁や将棋も認知症予防におすすめです。
記憶力や思考力を高める他、相手の出方を予想したり数手先まで考えたりするため、脳の活性化につながります。
また、対戦相手や同じ趣味をもつ人とコミュニケーションがとれる場としても囲碁や将棋は認知症の予防に有効です。
さらに囲碁や将棋は先を読むゲームなので、思考力や記憶力を司る前頭葉が鍛えられ、物忘れや注意力の低下を防ぎます。
脳トレ
認知症予防として取り組まれている脳トレは、文字を書くことや簡単な計算問題を解く、折り紙、塗り絵などです。
これらをすることにより、自分で考え判断する力を高め、手指を動かすことで脳を活性化します。
特に、幅広い分野の脳トレを実施する方がより大きな効果が得られます。
また、脳トレは認知症を予防することが目的なので、正解にこだわらず、不正解であっても脳を使っているので脳トレの目的を達成したことを意識します。
指体操
認知症の予防に指体操は有効です。
指を動かすと、脳が活性化するといわれており、記憶に関する前頭前野や、位置情報を把握する前頂葉が活発になるといわれています。
指体操の例として、親指から小指まで順番にゆっくり折り曲げたり、その曲げる順番を両手でずらしたりするものがあります。
どのような場所でも簡単にできるので、是非実践してみてください。
楽器の演奏や料理
適切な運動ではなくても、例えば楽器の演奏や、料理などの手作業、編み物や刺しゅうなどの手芸は、体の一部を使う活動です。
楽器は指を使って演奏したり、息を吹いて音を出すので、脳を刺激して活性化させるのに効果的です。
また料理は、「献立を確認する」「食材を切る」「煮炊きする」など順番を考えながら複数の作業を同時に行います。頭と手を使う作業として、認知症予防に効果があるといわれています。
認知症予防に効果的な運動とは?
続いて、認知症予防に効果がある運動方法について解説していきます。
有酸素運動
認知症の予防法としてよく挙げられるのが、有酸素運動です。
1日30分の運動を週3回以上行うことが良いとされています。
有酸素運動をすることで、脳由来神経栄養因子が出て新しい神経や血管が生まれることがわかっており、認知症の予防につながると期待されています。
ただ、単純に1つの運動を行うのではなく、複数の作業やトレーニングを組み合わせたデュアルタスク(2種類の作業を同時に行うこと)の方が、認知症予防効果は高いと言われています。
まとめ
認知症は、できるだけ早く気づいて医療機関を受診し、適切な治療を受けることで、症状の進行を緩やかにしたり、遅らせたりできます。
そのためには、ちょっとした異変に気づくことが重要です。
同じことや話を何度も繰り返す、忘れ物が多いなどの物忘れの症状のほか、約束の場所や日時を間違えたり道に迷いやすくなったりするといった場所や日時がわからなくなる症状も、認知症の初期段階で起こり得ます。
そのほかにも、新しいことが覚えづらい、計算ミスや料理の間違いが増えるなどの判断力や理解力の衰え、これまで熱中していた趣味に興味がなくなる、怒りっぽくなるなどの変化にも要注意です。
ただし、高齢者のこのような症状は、今までできたことができなくなったことによる自信喪失で起こるうつ病の可能性もあります。
いずれにせよ、もしこれらの症状が見られた場合は、医療機関や専門家に相談する事をオススメします。
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