近年、高齢者の生活困窮問題が深刻化しており、生活保護制度への依存度も高まっています。
しかし、高齢者は制度の利用に抵抗を感じるケースも多く、潜在的な生活保護受給者が多く存在すると考えられています。
群馬県は、こうした課題を踏まえ、2023年12月、「生活保護のしおり」を大幅に改訂しました。
今回の改訂は、高齢者の生活保護利用促進を目的としており、脱却促進表現の削除、高齢者向け支援情報の充実、わかりやすい文章とデザインなど、様々な工夫が盛り込まれています。
生活保護世帯の現状
日本の生活保護は、国や自治体が貧困状態にある人々の最低限の生活を保障するための制度です。生活保護を受けるためには、収入や財産が一定基準以下であることが条件となります。
・受給者の特徴：生活保護を受給している人々は、高齢者や障害を持つ人、単身世帯、子供を持つ家庭など、さまざまな背景を持つ人々が含まれています。特に、高齢者や障害者の受給者が比較的多い傾向があります。
・受給期間：生活保護は原則として継続的な支援となりますが、受給者が自立できるように支援するため、就労支援や生活改善支援が行われることもあります。そのため、受給期間は個々の状況によって異なります。
・支給内容：生活保護は、生活に必要な最低限の費用を支給する制度です。具体的には、食費や住居費、光熱費などの生活費が支給されます。支給額は、家族構成や地域によって異なります。
・問題点：生活保護制度には、受給者のプライバシーや差別、支給額の不足などの問題点も指摘されています。また、支給を受けることに対する社会的な偏見や差別も課題とされています。
「しおり」改訂の概要
1. 脱却促進表現の削除
従来の「生活保護のしおり」には、「生活保護は生活を立て直すための最後の手段」といった、生活保護利用を否定するような表現がいくつか見られました。こうした表現は、高齢者が生活保護を利用することに抵抗を感じる要因の一つとなっています。
今回の改訂では、こうした脱却促進表現を削除し、高齢者が生活保護を安心して利用できるよう配慮されています。具体的には、「生活保護は困っている人を支える制度」と明確に示し、生活保護利用に対するネガティブなイメージを払拭するよう努めています。
2. 高齢者向け支援情報の充実
高齢者は、生活保護制度の申請手続きや利用方法について理解が不十分な場合が多く、制度へのアクセスが困難な状況にあります。
改訂版では、高齢者向けに、生活保護制度の概要、申請手続き、利用方法、相談窓口などの情報を分かりやすく掲載しています。さらに、高齢者特有の課題に対応した支援情報も充実させており、認知症や介護に関する情報なども提供しています。
3. わかりやすい文章とデザイン
高齢者は、視力や認知機能の低下により、複雑な文章やデザインを理解するのが難しい場合があり、高齢者が読みやすいように、大きな文字サイズと行間、シンプルなレイアウトを採用しています。また、イラストや図表を多用し、文章の内容を分かりやすく伝えています。
改訂による期待される効果
今回の「生活保護のしおり」改訂により、次の効果が期待されます。
・高齢者の生活保護利用促進
・生活困窮状態からの脱却支援
・高齢者福祉の充実
まとめ
群馬県「生活保護のしおり」の改訂は、高齢者の生活保護利用促進に向けた大きな一歩です。改訂内容を理解し、生活保護制度を活用することで、高齢者が安心して生活を送ることができるよう、社会全体で取り組んでいくことが重要です。
生活保護の利用を検討されている方は、お住まいの市区町村の福祉事務所にご相談ください。福祉事務所では、生活保護制度に関する説明や、申請手続きのサポートなどを提供しています。
参考：厚生労働省生活保護情報サイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
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