幸福なシニアはどんな生活形態? 孤立化でヘタる男、家事解放の元気な女

健康

日本の高齢化社会における世帯構成の変化は、高齢者の生活と幸福度に大きな影響を与えています。独居世帯や未婚の子と同居する高齢者の増加は、社会的な支援体制や家族関係のあり方に新たな課題を投げかけています。これらの世帯構成の変化が高齢者の幸福度にどのように影響しているのか見てみましょう。

独居世帯の増加と高齢者の幸福度

日本の高齢者世帯は、独居や夫婦のみの世帯が増加傾向にあります。2019年のデータによると、これらの世帯は全体の61%を占め、三世代世帯の割合はわずか9%にまで減少しています。
特に独居高齢男性の幸福度は低く、孤立化や家事負担がその背景にあるとされています。一方で、独居高齢女性は家事負担からの解放や社会的交流の広がりにより、幸福度が高い傾向にあります。
これらの事実は、性別によって高齢者の幸福度に差が生じることを示唆しており、社会的な支援やコミュニティの形成が重要であることを強調しています。
以下に詳細を示します。

独居高齢男性:
独居高齢男性は、ひとり暮らしになることによって孤立化しやすい傾向があります。家事負担が増加することも影響しています。その結果、独居高齢男性の幸福度は、家族と暮らす高齢男性に比べて低くなることが統計分析で明らかにされています。

独居高齢女性:
独居高齢女性は、家事からの解放や社会的交流の広がりにより、幸福度が高い傾向があります。他の家族の家事負担もなく、気兼ねなく生活できるため、幸福度が高まると言えます。女性は男性よりも家庭外での交友関係が広く、孤立化しにくいといった点も影響しています。

未婚の子と同居する高齢者の増加

未婚の子と同居する高齢者の割合も増加しており、2019年には約512万世帯に達しています。この同居形態は、日常生活の支援や介護の面でメリットがある一方で、親子間のストレスや経済的負担といったデメリットも存在します。
以下に詳しく説明します。

・メリット
生活上の支援:未婚の子と同居することで、日常生活のさまざまな面で支援を受けることができます。例えば、買い物や家事、重い荷物の持ち運び、車の運転などが挙げられます。親の健康状態が悪化した際には、介護の担い手としても活躍できます。
経済的な安定:未婚の子と同居することで、生活費や住居費を分担できます。親の経済的な負担が軽減され、安定した生活が維持できる可能性が高まります。
感情的なサポート:同居する子とのコミュニケーションや交流により、孤立感を軽減できます。親子の絆が深まり、精神的な安定感を得ることができます。

・デメリット
ストレス:家族との同居は、親子間でさまざまなストレスが生じる可能性があります。価値観や生活習慣の違い、意見の対立などが原因となります。
経済的な負担:未婚の子が経済的に不安定な場合、親の負担が増加することがあります。特に「パラサイトシングル」と呼ばれる現象では、親の経済的なサポートが必要となることがあります。
プライバシーの制約:同居することで、プライバシーが制約されることがあります。個々の生活スペースや時間の使い方に制限が生じる可能性があります。

大阪商業大学の宍戸邦章教授の分析によると、未婚の子との同居は高齢の親の幸福度を低下させるとされています。しかし、親の健康状態が悪化した場合など、同居がセーフティーネットとして機能する可能性もあり、この点については今後の研究が期待されます。

国際的な視点から見た高齢者と子との同居

日本だけでなく、ヨーロッパでも高齢の親と子との同居に注目が集まっています。景気の悪化や失業問題が若年層を親元に戻す動きを促しており、同居が親の生活の質やメンタルヘルスに及ぼす影響については、まだ結論が出ていません。これらの国際的な動向は、高齢者の幸福度に関する研究に新たな視点を提供し、グローバルな社会政策の策定に貢献する可能性を秘めています。

結論として

高齢者の世帯構成の変化は、個々の高齢者の幸福度に複雑な影響を与えています。独居世帯の増加は、特に男性高齢者にとって孤立化のリスクを高める一方で、女性高齢者には自由度の向上と幸福度の増加をもたらしています。未婚の子との同居は、生活上の支援というメリットがあるものの、親の負担増加と幸福度の低下につながることが示されています。これらの知見は、高齢者の幸福度を高めるための社会的支援や政策の策定において重要な考慮事項となります。今後の研究により、これらの世帯構成の変化が高齢者の幸福度にどのように影響するのか、さらに深く理解することが求められています。

 

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